コール・ミー!!!
全員の自己紹介が終わって昼休みになると、瑠衣を含め前回のクラスが一緒だった4人で、何となく話し始める。
「去年のクラスのみんなとは、バラバラになっちゃったね」
瑠衣に最初に話しかけてきたのは、東條泉美さん。
彼女は見目麗しく、華やかな雰囲気を纏う高嶺の花。告白した男子は去年1年間で二十二人。全員見事に玉砕である。
苗字ではなく、彼女とは名前で呼び合える仲になりたいな、と瑠衣は思っている。
去年1年間、特別仲が良かったというわけでは無かったが、お互いに話しやすく、何となくいつまでも会話が続く間柄だった。
「1年の時のクラス、みんないいヤツらで楽しかったのにな」
次に会話に参加したのは、滝佑太郎君。
中学、高校共にテニス部所属。大の運動好きで、爽やかなイケメンである。
女子に絶大な人気があり、校内では公式?ファンクラブまであるそうな。彼は2年生ヒエラルキーのトップに君臨している。
「まだ緊張するよ…。胃が痛い」
最後に会話に加わったのは、戌井鉄也君。
男子にしては小柄で痩せており、姿勢を良くしていると割とカッコいいのに、いつも猫背でボソボソ喋り、常に自信が無さそうなオーラを発している。そのせいもあり、少々残念な雰囲気を醸し出している。
本日のお弁当はこの4人で一緒にとる事になり、話に花が咲き続ける。
「印象的だったねー、久世くん」
東條さんが茶髪ロングで少しカールがかかっている髪を食事前に後ろで束ねながら、こう呟いた。
瑠衣は頷いた。
「うん。1番インパクトのある人だった」
彼は昼休みになると、ふらりとどこかへ消えてしまった。天気もいいし、屋上か中庭にでも行ったのだろうか。
「戌井とどっちが勉強出来るかな」
滝君がちょっとからかう様に戌井君に声をかけると、戌井君はパンをかじりながら首を傾げた。
「理系は得意だけど、僕は苦手教科もあるから、どうだろう」
戌井君は一年生の時、常に学年トップであった。この県下1優秀な四条南高校では、校舎裏の掲示板にテスト結果総合1番から100番までが大きく貼り出される。
瑠衣は中学時代、あらゆる欲望を押さえつけながら歯を食いしばって勉強し、どうにかまぐれでこの優秀な高校に、分不相応の状態で入学してしまった。
高校に入ってからは授業のスピードについていけず、1年生の時は1度も100番以内に入った事が無い。
次のテストで久世君が戌井君を抜くかどうかは、みんなの注目の的になりそうだ。
放課後になると、皆それぞれの部活へと散っていく。
「じゃ、佐伯さん、また明日ね」
「うん。部活頑張ってね」
東條さんは瑠衣に手を振ると、部室棟2階にある演劇部へと向かって行ってしまった。
瑠衣の在籍する手芸部は火曜、木曜、土曜だけであるため、月曜日の今日は自由だった。
「どこか寄って帰ろうかな…」
瑠衣は急に思いついて、帰宅途中の駅近辺にある水族館へ一人で行く事に決めた。
世界中の海の生き物たちを見て、癒されてから家に帰りたくなったのだ。
『マリン・マーメイド』は、この街の中では最も大きな水族館である。瑠衣の足でじっくり見て回ると、3時間以上はすぐに経ってしまう。
中に入ってしばらく歩くと視界が広がり、2階に上がると大きなガラスドームが見えてくる。
元気そうに群泳するクロマグロをしばらくボーっと見ていると、驚くべき人物がすぐ横でマグロを見ていた。
自己紹介で1番目立っていた美少年、久世 透矢君だった。
「去年のクラスのみんなとは、バラバラになっちゃったね」
瑠衣に最初に話しかけてきたのは、東條泉美さん。
彼女は見目麗しく、華やかな雰囲気を纏う高嶺の花。告白した男子は去年1年間で二十二人。全員見事に玉砕である。
苗字ではなく、彼女とは名前で呼び合える仲になりたいな、と瑠衣は思っている。
去年1年間、特別仲が良かったというわけでは無かったが、お互いに話しやすく、何となくいつまでも会話が続く間柄だった。
「1年の時のクラス、みんないいヤツらで楽しかったのにな」
次に会話に参加したのは、滝佑太郎君。
中学、高校共にテニス部所属。大の運動好きで、爽やかなイケメンである。
女子に絶大な人気があり、校内では公式?ファンクラブまであるそうな。彼は2年生ヒエラルキーのトップに君臨している。
「まだ緊張するよ…。胃が痛い」
最後に会話に加わったのは、戌井鉄也君。
男子にしては小柄で痩せており、姿勢を良くしていると割とカッコいいのに、いつも猫背でボソボソ喋り、常に自信が無さそうなオーラを発している。そのせいもあり、少々残念な雰囲気を醸し出している。
本日のお弁当はこの4人で一緒にとる事になり、話に花が咲き続ける。
「印象的だったねー、久世くん」
東條さんが茶髪ロングで少しカールがかかっている髪を食事前に後ろで束ねながら、こう呟いた。
瑠衣は頷いた。
「うん。1番インパクトのある人だった」
彼は昼休みになると、ふらりとどこかへ消えてしまった。天気もいいし、屋上か中庭にでも行ったのだろうか。
「戌井とどっちが勉強出来るかな」
滝君がちょっとからかう様に戌井君に声をかけると、戌井君はパンをかじりながら首を傾げた。
「理系は得意だけど、僕は苦手教科もあるから、どうだろう」
戌井君は一年生の時、常に学年トップであった。この県下1優秀な四条南高校では、校舎裏の掲示板にテスト結果総合1番から100番までが大きく貼り出される。
瑠衣は中学時代、あらゆる欲望を押さえつけながら歯を食いしばって勉強し、どうにかまぐれでこの優秀な高校に、分不相応の状態で入学してしまった。
高校に入ってからは授業のスピードについていけず、1年生の時は1度も100番以内に入った事が無い。
次のテストで久世君が戌井君を抜くかどうかは、みんなの注目の的になりそうだ。
放課後になると、皆それぞれの部活へと散っていく。
「じゃ、佐伯さん、また明日ね」
「うん。部活頑張ってね」
東條さんは瑠衣に手を振ると、部室棟2階にある演劇部へと向かって行ってしまった。
瑠衣の在籍する手芸部は火曜、木曜、土曜だけであるため、月曜日の今日は自由だった。
「どこか寄って帰ろうかな…」
瑠衣は急に思いついて、帰宅途中の駅近辺にある水族館へ一人で行く事に決めた。
世界中の海の生き物たちを見て、癒されてから家に帰りたくなったのだ。
『マリン・マーメイド』は、この街の中では最も大きな水族館である。瑠衣の足でじっくり見て回ると、3時間以上はすぐに経ってしまう。
中に入ってしばらく歩くと視界が広がり、2階に上がると大きなガラスドームが見えてくる。
元気そうに群泳するクロマグロをしばらくボーっと見ていると、驚くべき人物がすぐ横でマグロを見ていた。
自己紹介で1番目立っていた美少年、久世 透矢君だった。