コール・ミー!!!
夜の9時。
瑠衣は一人で、洋館の外を散歩していた。
この場所に来た時から気づいていたが、どうやら撮影場所は洋館以外にも、近くにいくつか存在するらしい。
美しい花々が咲き誇る広大な中庭をしばらく歩いていくと、少し大きなガラスドームが目に飛び込んできた。
ここは、見覚えがある気がする。
入口の鍵は開いており、恐る恐る中に入ってみた。
「お邪魔します…」
中は、むせかえるような薔薇の香り。
薔薇だらけの温室のようだが、どこかの王宮の中に存在する、秘密の庭園の一部のようにも見える。
月の光は幻想的に、夜の星空が包みこむガラスドームの中に、差し込んでいる。
美しく咲き誇っている色とりどりの薔薇は、温室の中心にあるふかふかのベッドを守っているようにも見える。
…何故ベッドが、こんな場所に?
撮影のために必要なのだろうか?
そのベッドの中には、すやすやと眠っている久世透矢の姿があった。
瑠衣が作ったぬいぐるみの『シルク』を抱きしめながら、彼はぐっすりと眠っているように見える。
「…」
瑠衣は、彼をじっと見つめた。
長い睫毛を閉じた様子が、外国の絵画の一部を切り取ったかのよう。
なんて、美しい人なんだろう。
さらさらした栗色の少しだけ長い髪と、
滑らかな透き通るような肌。
自分のこの手で、触れてみたくなってしまう。
大好き。
この人を、自分だけのものにしたい。
自分しか知らない場所に、閉じ込めてしまいたい。
瑠衣は、眠っている彼のすぐ側に近づいた。
吐息が触れそうな距離まで近づいても、まだ彼は目を覚まさない。
瑠衣は少し躊躇ってから、彼の唇にそっと、キスをした。
すぐに離れようとしたその瞬間。
「…捕まえた」
彼は両腕で素早く瑠衣の体を抱き締め、そのままベッドに引き寄せた。
体中が、かっと熱くなる。
「…起きてたの?」
「うん」
彼は、悪戯が成功した子供のような表情で、微笑んでいた。
「瑠衣、続きは?」
彼は少し、目を細めて瑠衣を見つめた。
「まだ、足りない」
彼は瑠衣の髪に指を絡め、さらに体を引き寄せた。
そして、
瑠衣の唇に何度も、
何度も、優しいキスをした。
「…トオヤ」
「…瑠衣…?」
「トオヤ」
彼は、何度も続くキスの合間に、ねだるように催促した。
「もう一度、呼んで…」
「トオヤ」
「瑠衣。…思い出したの…?」
瑠衣は、頷いた。
「この場所で、『シルク』だった時、トオヤが好きだって言ってくれた」
「私も大好き。トオヤだけが」
「うん」
彼は瑠衣の上に覆い被さり、徐々にキスを深くしていった。
唇だけではなく、
耳に、
頬に、
首筋に、
鎖骨のあたりにも、キスの雨を降らせていく。
瑠衣はくすぐったくて、この状況が可笑しくて、何故だか声をあげて笑ってしまった。
「ねえ、トオヤ、…どうなっちゃうの?」
トオヤは唇を離して瑠衣を見つめ、少し首を傾げてこう言った。
「この先は、まだ良くわからない」
じっと見つめ合ってしまい、
二人同時に、笑ってしまった。
「…だから、続きはもう少し大人になってから」
彼は瑠衣をきつく抱きしめると、幸せそうに微笑んだ。
「でも、もうしばらく、このままでいて…」
彼は瑠衣を抱きしめたまま、再び長い、長いキスをした。
触れられた部分から魔法にかかるように、鼓動の大きさがまるで変わっていってしまう。
もっと、ずっと一緒にいたいと、全身が叫んでいる。
これが、恋なんだ。
自分の心だけでは、決して支配できないものなんだ。
瑠衣は一人で、洋館の外を散歩していた。
この場所に来た時から気づいていたが、どうやら撮影場所は洋館以外にも、近くにいくつか存在するらしい。
美しい花々が咲き誇る広大な中庭をしばらく歩いていくと、少し大きなガラスドームが目に飛び込んできた。
ここは、見覚えがある気がする。
入口の鍵は開いており、恐る恐る中に入ってみた。
「お邪魔します…」
中は、むせかえるような薔薇の香り。
薔薇だらけの温室のようだが、どこかの王宮の中に存在する、秘密の庭園の一部のようにも見える。
月の光は幻想的に、夜の星空が包みこむガラスドームの中に、差し込んでいる。
美しく咲き誇っている色とりどりの薔薇は、温室の中心にあるふかふかのベッドを守っているようにも見える。
…何故ベッドが、こんな場所に?
撮影のために必要なのだろうか?
そのベッドの中には、すやすやと眠っている久世透矢の姿があった。
瑠衣が作ったぬいぐるみの『シルク』を抱きしめながら、彼はぐっすりと眠っているように見える。
「…」
瑠衣は、彼をじっと見つめた。
長い睫毛を閉じた様子が、外国の絵画の一部を切り取ったかのよう。
なんて、美しい人なんだろう。
さらさらした栗色の少しだけ長い髪と、
滑らかな透き通るような肌。
自分のこの手で、触れてみたくなってしまう。
大好き。
この人を、自分だけのものにしたい。
自分しか知らない場所に、閉じ込めてしまいたい。
瑠衣は、眠っている彼のすぐ側に近づいた。
吐息が触れそうな距離まで近づいても、まだ彼は目を覚まさない。
瑠衣は少し躊躇ってから、彼の唇にそっと、キスをした。
すぐに離れようとしたその瞬間。
「…捕まえた」
彼は両腕で素早く瑠衣の体を抱き締め、そのままベッドに引き寄せた。
体中が、かっと熱くなる。
「…起きてたの?」
「うん」
彼は、悪戯が成功した子供のような表情で、微笑んでいた。
「瑠衣、続きは?」
彼は少し、目を細めて瑠衣を見つめた。
「まだ、足りない」
彼は瑠衣の髪に指を絡め、さらに体を引き寄せた。
そして、
瑠衣の唇に何度も、
何度も、優しいキスをした。
「…トオヤ」
「…瑠衣…?」
「トオヤ」
彼は、何度も続くキスの合間に、ねだるように催促した。
「もう一度、呼んで…」
「トオヤ」
「瑠衣。…思い出したの…?」
瑠衣は、頷いた。
「この場所で、『シルク』だった時、トオヤが好きだって言ってくれた」
「私も大好き。トオヤだけが」
「うん」
彼は瑠衣の上に覆い被さり、徐々にキスを深くしていった。
唇だけではなく、
耳に、
頬に、
首筋に、
鎖骨のあたりにも、キスの雨を降らせていく。
瑠衣はくすぐったくて、この状況が可笑しくて、何故だか声をあげて笑ってしまった。
「ねえ、トオヤ、…どうなっちゃうの?」
トオヤは唇を離して瑠衣を見つめ、少し首を傾げてこう言った。
「この先は、まだ良くわからない」
じっと見つめ合ってしまい、
二人同時に、笑ってしまった。
「…だから、続きはもう少し大人になってから」
彼は瑠衣をきつく抱きしめると、幸せそうに微笑んだ。
「でも、もうしばらく、このままでいて…」
彼は瑠衣を抱きしめたまま、再び長い、長いキスをした。
触れられた部分から魔法にかかるように、鼓動の大きさがまるで変わっていってしまう。
もっと、ずっと一緒にいたいと、全身が叫んでいる。
これが、恋なんだ。
自分の心だけでは、決して支配できないものなんだ。