甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「嘘なの?」

「はい」

「じゃ、僕のこと好き?」

「はい」

はい……?

はい?!

思わず間宮さんに乗せられて返事をしてしまったけれど、今の問いかけに「はい」っていうってことは「好き」って言ってるようなものでしょう?

信じられないくらいに体中が熱くなる。

間宮さんはうつむいてくすっと笑い、上目遣いに私に視線を向けた。

「ほんと、広瀬さんにはまいっちゃうな」

そう言って前髪をかき上げると、目の前で両手を組みいつものように優しく微笑んだ。

「君のその真っ正直なところ、すごく新鮮で飽きない」

どう思っただろう。

私が思わず「好き?」に対して「はい」って答えてしまったことに。

「このままずっと見ていたいくらい」

彼の静かな声が二人きりのこの静かな部屋に響く。

このままずっと?

私はゆっくりと視線を上げ、間宮さんの顔を見た。

「またどうしてもぷーすけの世話が必要になったら、お願いしてもいいかな?」

まるで彼はさっきの言葉をはぐらかすように話題を変えた。

それとも、もともと私にぷーすけの今後の世話を依頼するための、リップサービスだったのかな。

少し口元を緩めて私を見つめる彼の姿からは、彼の本心はわからない。

だけど、これからもぷーすけを通じて彼と繋がっていたいということは私の中では明確だった。

「はい、もちろんです」

ドキドキ震える胸を意識下でぐっと堪えながら、しっかりと間宮さんの目を見つめて答えた。

「ありがとう」

彼は目を細めて頷く。


その後、間宮さんは私のうちまで送り届けてくれた。

久しぶりの我が家は、とても静かで懐かしい匂い。

落ち着くけれどなんだか物足りない、そんな気がした。
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