甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
そんなある日、弥生からLINEが入る。

またこちらに出張が入ったから夜に会えないかという内容だった。

ようやく私にも恋する人ができたということを弥生に話したい。

誰よりも私を理解してくれている弥生の意見も聞きたかったし。

すぐにオッケーの返信をうち、会う約束をした。


それから数日後の夜、弥生とは都内のカフェバーで待ち合わせることにしている。

金曜日ということもあって、どの店も混んでいたから事前に予約をとっておいた。

このカフェバーも、弥生のおすすめということで教えてもらった場所。

私は、夜飲みに出かけるなんてこともあまりしてこなかったから、お店はいつも弥生に決めてもらっている。

先についた私は案内されたカウンター席に座り、手持無沙汰に持ってきていた読みかけの単行本をバッグから取り出した。

それにしても、この読みかけの本、開くのいつぶり?

というくらい間が空いてしまって、しおりを挟んだ場所を開けても少し前のページから読まないとストーリーを忘れてしまっていた。

こんなにも読まない日々が続くということも今まではなかったこと。

何してたんだろ。毎日。間違いなく暇な日を過ごしていたはずなのに。

ぼんやりと間宮さんやぷーすけのことを考えていたら、時間なんてあっというまに過ぎてしまう。

ぷーすけは元気にしているのかな。

丸い顔から大きな口を横一杯に広げて舌をペロンと出しているぷーすけを思い出す。

ほら、結局まだちっとも開いた本は読めていない。


< 104 / 233 >

この作品をシェア

pagetop