甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「きっと、また間宮さんから連絡あるわよ。そうしたら、間違いないと思う」

弥生は私の肩に手を置いてうんうんと頷く。

「凛が本気で恋したら、今まで壊せなかった殻をきっと破けるわ」

もうほんの少し破けてるかもしれないと思いながらうつむいて笑った。

「次が大事よ。絶対ためらっちゃだめ。自分の本能に逆らわずに向かうのよ」

「本能ねぇ。なんだか動物みたい」

「人間だって動物だわ。本能ってまんざらでもないんだから」

その時、テーブルに置いてあった私のスマホが震えた。

電話かな。弥生に「ちょっとごめん」と言ってスマホを耳に当てる。

『遅い時間にすまない、間宮だけど』

「ま、間宮さん?!」

思わず大きな声が出て、横にいた弥生が驚いて飲んでいたカクテルを少しこぼした。

まさか、こんな話題している時に間宮さんから電話だなんて!

一気に体中が熱くなり、胸の鼓動が激しくなっていく。

次が大事よって言ってた弥生がじっと私を見つめながら頷いている。

えー、でも、一体どうしてこんな夜更けに電話なの?

『実は、ぷーすけのことで……』

「ぷーすけ?」

弥生と顔を見合わせる。

『実は広瀬さんが帰った後からぷーすけの元気がなくてね。食事もちゃんと採らなくなってしまった。今さっき家に帰ったらぷーすけがぐったりしていて夜中の診療受け付けていた動物病院に連れてきてるんだ』

「大丈夫なんですか?ぷーすけは?」

一気に間宮さんへのドキドキがぷーすけの容態への不安のドキドキに変わる。

『今点滴して何とか大丈夫。医者にも栄養失調だって怒られたよ』

「栄養失調だなんて、かわいそうに。私がいたときはあんなに元気に食べてたのに」

『うん。それで、お願いがあるんだ』

間宮さんの声が心なしか1トーン低くなったような気がした。

『うちに住んでくれないか?』

想像もしていなかった間宮さんの言葉に思わず息をのむ。



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