甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
間宮さんは午後から夜中までパーソナル・サポートとデザインの仕事が入っているから、それまでランチでも一緒にしようと誘ってくれた。

相変わらず忙しい彼の気配りに申し訳ないと思いつつ、二人でランチしたいという自分の気持ちに負けてしまう。

「いいんですか?」

全ての荷物を片付け終え、飛びついてきたぷーすけを抱き上げながら一応確認してみる。

「もちろん。僕もなかなか時間がとれない身だから、少しでも時間があるときには広瀬さんをねぎらいたい」

「そんな。私ねぎらっていただくほど何もしてないし」

「いいんだ」

間宮さんはそう言って微笑むと私の腕をつかんで玄関に向かった。

ぷーすけはさすがに私の片方の腕だけでは抱えきれず滑り落ち、不満気に「キャン」と鳴いた。

咄嗟のことにあまりよく状況を把握できていないけれど、今私は間宮さんに腕を握られてる?

さっき抱き留められたことといい、二人で過ごすって、こんなにも接触率が高いものなのかしら。

優しくつかまれた腕がじんじんと熱い。

玄関を出ると、ようやく彼の手が私の腕から離れる。

呆然と彼の顔を見上げていると、間宮さんは「あ」と言って前髪をかき上げた。

「ごめん。僕は仕事柄少しせっかちで強引なところがあるかもしれないから、いやなら遠慮なく言ってね」

嫌なんかじゃない。逆に離れてしまった手がとても寂しい……だけ。

「どうかした?」

彼が心配そうな目で私の顔を覗き込む。

胸の奥が、きゅーっと切なく締め付けられる。





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