甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
そして、まだ間宮さんのそばにいてもいいと感じたかった。

玄関の扉をそっと開ける。

きっとぷーすけが一目散にかけてきて目を輝かせて私を迎えてくれる。

「おかえり」

それはぷーすけではなくて、思いがけない彼の声と笑顔だった。

ずっと会いたかった彼の優しい笑顔。

そんな間宮さんの姿を見ただけで泣いてしまいそうになる。

「ただいま」

涙をくっと堪えて、うつむいたまま答える。

ただいま、なんて誰かに言ったのはいつ以来だろう。

しかも両親以外に「ただいま」なんて言うのは初めてかもしれない。

「間宮さんがこんな早くに帰っているなんて珍しいですね」

靴を揃えながら、彼が私よりも早く帰っていることに違和感を覚え尋ねた。

彼の腕に抱かれたぷーすけが目を爛々とさせて私を待っているので、その頭をそっと撫でる。

「ずっと取り掛かっていたハイヤーホテル二号館のロビーデザインがようやく仕上がってね。今日は早めに帰れたんだ」

「そうだったんですね。お仕事落ち着いたなら少しはゆっくりできるんですか?」

彼の背中を追うようにリビングに入った。

ソファーに腰を下ろした間宮さんの腕からするりと抜け出したぷーすけが私の方に走り寄る。

私は笑いながら膝に前足をかけて立ち上がっているぷーすけを抱き上げた。

「今週末はパーソナル・サポートも休みにしようと思ってる」

リビングの奥の自分の部屋にバッグを置きにいく。

ずっと休みなしで働いている間宮さん。
いくらタフとはいえ、やっぱり仕事が落ち着いたら休暇は必要だ。

お休みすると聞いて安心した。


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