甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
鍋島さんが間宮さんにこれから向かおうとしている無人島を教えた人物なのかもしれない。

海洋地図を開いて、鍋島さんと彼は難しい顔をしてしばらく話し込んでいた。

「今日は、まず天気が崩れることはないだろうけど、万が一崩れた時は島の港にビットがあるからしっかりしばっとけ。島の中央に昔住んでた人が住居として使っていたらしい小屋がいくつかあるから使えばいい。まぁ汚いけど雨風はしばらくはしのげるさ」

「わかった。っていうかまるで天気が崩れるみたいな言い方するなよ。今日は大丈夫だろ?」

「多分な。こればっかりはいくら俺でも断言はできない」

そう言って、鍋島さんは白い歯を見せて笑った。

「何か困ったことあったら俺に無線で知らせてくれ。俺も今日はこのあたり一帯巡回してるから」

「さんきゅ。心強いよ」

間宮さんは鍋島さんに礼を言うと、さっそく船の方に向かった。

私も鍋島さんに「ありがとうございます」と言って彼の後を追う。

「楽しい海のドライブを!」

鍋島さんは大きな声で笑いながら私たちの乗る船に手を振った。


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