甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
他のメンバーたちは自分の座席で資料を手にすると次々と駆け足で会議室へ向かう。

「ちょっとちょっと、凛ちゃん抜け駆けはだめよぉ」

直美が私に顔を近づけて頬を膨らました。

「っていうか、販売部全員でお昼食べてたの?大事な打ち合わせがある日に全員出払うなんてだめじゃない」

私にしては珍しく直美に反論する。

「ごめんごめん。間宮デザインに今回のパッケージデザイン受けてもらえたから皆有頂天になっちゃっててね。出来上がる前から絶対売れ筋に乗る!なんて言って前祝ランチやってたの」

「前倒ししすぎだよ」

私は首をすくめて苦笑し、何事もなかったかのように自分の座席に戻った。

椅子に座ると大きく深呼吸し、パソコンを広げる。

間宮樹。

忘れなきゃ。

きっともう二度と会えないし、話なんかできるような相手ではない。

それなのに、頭からその顔、優しい目、名前を消去しようとすればするほど、その存在が深く私に刻まれていくようだった。

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