甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
そして、何も言わず間宮さんは私の右手を握り、そのまま歩き始める。

え?!

手をつないでる?間宮さんと私。

二人が手をつないでいるのは紛れもない事実で、その証拠に砂浜に伸びた私たちの影もしっかりとその手と手をつないでいた。

握られた手がじんじんと熱い。

どうしていいかわからなくて彼の大きな手に握られたまま歩いた。

間宮さんはいたずらっぽく笑うと言った。

「またカニに足を挟まれるかもしれないから、しばらく手をつないで歩こう」

私は目を見開いて彼の顔を見上げる。

間宮さんはすっと目を逸らした。

「その広瀬さんの目。僕もどうしていいかわからなくなる。嫌なら放すよ」

「いえ、いいです、このままで!」

放れそうになった手をぎゅっと握りしめて言った。

とういうか、言ってしまった。

自分の気持ちが間宮さんにばれてしまったんじゃないだろうか。

胸がとんでもなく鼓動を速めた。

彼の手が一層強く私の手を握りしめる。

「少しずつ、広瀬さんのこと教えて」

間宮さんになら、私のすべてをさらけ出しても大丈夫かもしれない。

彼の体温と鼓動が握られた手から優しく伝わってくる。

さざなみの柔らかい音を聞きながら、私の生い立ちを静かに話し始めた。





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