甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
12.母の呪縛
12.母の呪縛
もっと二人で今日の余韻を楽しんでいたかったのに、母からすぐに実家に戻るよう言われた。
樹さんは一緒に実家に行くと言ってくれたけれど、いきなり一緒に帰ったりしたら母の逆鱗に触れることは容易に想像がつく。
こんなに大切にしてくれている樹さんを傷つけたくはなかった。
樹さんと同居していることは私の意思だ。
そのことを伝えるためには私一人で帰る必要がある。
断る私を制して樹さんは実家の近くまで車で送ってくれた。
遠ざかる彼の車を見送りながら、大きく深呼吸した。
怖い。
私の決意を母と父はどう受け止めるんだろう。
そして、どんな言葉を私に投げかけてくるのか。
以前の私だったらきっと母達に自分の気持ちを押し通すことはできなかった。
だけど、今の私は違う。
樹さんと出会って、少しずつ自分の殻を破ってなりたい自分になっているんだから。
きっと両親への殻も破れるはず。その殻が一番強固かもしれないけど。
実家の玄関をゆっくりと開け、奥の居間にいるであろう両親に「ただいま!」とできるだけ明るい声で言った。
もっと二人で今日の余韻を楽しんでいたかったのに、母からすぐに実家に戻るよう言われた。
樹さんは一緒に実家に行くと言ってくれたけれど、いきなり一緒に帰ったりしたら母の逆鱗に触れることは容易に想像がつく。
こんなに大切にしてくれている樹さんを傷つけたくはなかった。
樹さんと同居していることは私の意思だ。
そのことを伝えるためには私一人で帰る必要がある。
断る私を制して樹さんは実家の近くまで車で送ってくれた。
遠ざかる彼の車を見送りながら、大きく深呼吸した。
怖い。
私の決意を母と父はどう受け止めるんだろう。
そして、どんな言葉を私に投げかけてくるのか。
以前の私だったらきっと母達に自分の気持ちを押し通すことはできなかった。
だけど、今の私は違う。
樹さんと出会って、少しずつ自分の殻を破ってなりたい自分になっているんだから。
きっと両親への殻も破れるはず。その殻が一番強固かもしれないけど。
実家の玄関をゆっくりと開け、奥の居間にいるであろう両親に「ただいま!」とできるだけ明るい声で言った。