甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
13.新しい一歩
13.新しい一歩

トリマーの資格を取れる専門学校の中で、働きながら夜間コースに通うことができるという学校に話を聞きにいってみる。

受付に通され、営業担当らしき女性が私の対応をしてくれた。

「そうですね。今は7月末だからぎりぎり入学申請には間に合いますね」

「あの、いつから授業が始まるんでしょうか?」

「基本、夜間の学生さんも一般と同じく来年の4月入学になります」

「来年の4月ですか?」

今すぐにでも始めたかったのに、一気に気分がしぼんでいく。

「もっと早く入ることはやっぱり無理でしょうか」

「そうですね。資格取得をお急ぎなら通信教育で取得する方法もありますが、実際犬に触れての実習が難しくなりますね。犬は飼っておられますか?」

「ええ、まぁ」

とりあえずぷーすけのことを頭に思い浮かべ頷く。

「犬種は?」

「パグ、です」

「パグですか?!」

その女性は少し困ったような顔で笑った。

そうだよね。トリミングの練習にはふさわしくない犬種だもの。

やっぱり来年早々トリマーの資格を取ってすぐ仕事に就くなんてうまい話はないか。

下唇を噛んで、すーっと息を吐いた。

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