甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
でも、まぁ、あんな彼でも樹さんの後輩でパーソナル・サポートのお手伝いしてくれてるわけだから無下にしちゃいけないわね。

お近づきにならなければいいだけ。

私はぷーすけの水を入れ替え、ボールにドッグフードを入れた。

でも、なんだろ。

あの田丸さんの細い目。いつも笑ったような目だけど、その目の奥が見えないから本心がわかりにくい。

丸い目をキラキラさせて私を見上げるぷーすけに「よし」と言ってやると、ボールに顔をうずめてドックフードにかぶりつく。

そんなぷーすけの頭を何度か撫でてやり、その後すぐ私も学校に向かうために樹さんの家を後にした。

*******

その日の夜遅く、樹さんから電話があった。

「今日、うちで田丸と会ったんだって?事前に知らせてなかったから驚いただろう。すまない」

「いえ、大丈夫です。すぐ田丸さんも自己紹介してくれたので」

「あいつも今かけだしのデザイナーでね。僕の直属の後輩で一緒に仕事してるんだ」

「お若いですよね」

「ああ、確か25になったばかりだったと思う。凛よりも年下だな」

「田丸さんて、とてもフレンドリーな方で少し驚きました」

馴れ馴れしいとはさすがに言えず、言葉を選ぶ。

「そうだな。誰に対してもあの人懐っこい笑顔で甘え上手な奴だから、上層部からもかわいがられてる。僕とはちょっとタイプが違うかな」

「全然違います」

思わず語尾が強くなってしまう。

「なんだかえらくはっきり言うね。田丸の奴、気に入らなかった?」

樹さんは電話の向こうで笑った。


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