甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
日曜日、安友さん宅でいつものように午前9時~12時までの講義を受ける。

講義が終わり、片づけをしている横で安友さんが「今日はえらくめかしこんでるわね」と言って私を冷やかした。

「そんなことないです」

と言ったけれど、今着ているのは昨日買ったばかりの秋物のオレンジのタータンチェックワンピース。

「もしかしてデート?」

安友さんはおちゃめな表情で私を上目遣いで軽くにらむ。

嘘のつけない私は黙ったままうつむいた。

「ほんと、凛ちゃんって素直。いい性格だわ」

「いじめないでください」

私は苦笑しながら、安友さんの肩を軽く叩いた。

「パーソナル・サポートの間宮社長とはその後どうなの?何か進展あった?」

安友さんは私たちが付き合ってるってこと知ってるんだろうか。

樹さんはどこまで安友さんに話したんだろう。

「どうしてそんなこと聞くんですか?」

「だって、前から二人はお似合いだなぁって思ってるからよ」

「そうですか?」

「二人とも、とても純真な目をしてる。そして勇気がある人たちだわ。惹かれあっても不思議じゃない」

なんだかお似合いって言われて嬉しいけど恥ずかしくなって、口をきゅっと結んで彼女から目を逸らす。

「あなたたちを見てたら、ちょっとね私と亡き旦那との出会いを思い出すの。関係性がとても似てるから」

「そうなんですか?」

興味が引かれて、思わず目を見開いて安友さんの顔を見つめた。

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