甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
15.迷っちゃだめ
15.迷っちゃだめ
カチャッと音がして静かに扉が開いていく。
ぷーすけの鳴き声が止み、私の気持ちを察するかのように声を潜めたかと思うと、私の足元をすり抜けて先に部屋に入っていった。
壁一面に本棚と仕事で使う道具が整然と並べられている。
そして奥の窓際にはこちらにむけて彼の大きなワークデスクが置かれていた。
「キャンキャン!!」
ぷーすけがデスクの裏に回りけたたましく吠える。
デスクの向こうからむっくり人影が起き上がったので、思わず身構えた。
何か戦えるものを手にしておくべきだったと反省しながら。
「うるせーな!」
そう言ってデスクに手をかけ立ち上がった彼は、紛れもなくあの田丸さんだった。
ぷーすけに気を取られているのか、こちらには目を向けない。
下りた前髪が彼の細い目を隠していて、どんな表情をしているのかわからなかった。
ぎゅっと手を握りしめて田丸さんに向かって声を上げる。
「田丸さん!」
ハッとした様子でようやくこちらに顔を向けた。
「あ、君。広瀬さんだね。……来てたの?」
明らかに動揺している様子の彼の目は異様に笑っているように見える。
それが逆に違和感があって怖かった。
吠え続けるぷーすけを無視して、田丸さんはこちらにゆっくりと近づいてくる。
いやだ。
私、どうすればいい?
ごくりと唾を呑み、必死に冷静にならねばと自分自身に言い聞かせた。
カチャッと音がして静かに扉が開いていく。
ぷーすけの鳴き声が止み、私の気持ちを察するかのように声を潜めたかと思うと、私の足元をすり抜けて先に部屋に入っていった。
壁一面に本棚と仕事で使う道具が整然と並べられている。
そして奥の窓際にはこちらにむけて彼の大きなワークデスクが置かれていた。
「キャンキャン!!」
ぷーすけがデスクの裏に回りけたたましく吠える。
デスクの向こうからむっくり人影が起き上がったので、思わず身構えた。
何か戦えるものを手にしておくべきだったと反省しながら。
「うるせーな!」
そう言ってデスクに手をかけ立ち上がった彼は、紛れもなくあの田丸さんだった。
ぷーすけに気を取られているのか、こちらには目を向けない。
下りた前髪が彼の細い目を隠していて、どんな表情をしているのかわからなかった。
ぎゅっと手を握りしめて田丸さんに向かって声を上げる。
「田丸さん!」
ハッとした様子でようやくこちらに顔を向けた。
「あ、君。広瀬さんだね。……来てたの?」
明らかに動揺している様子の彼の目は異様に笑っているように見える。
それが逆に違和感があって怖かった。
吠え続けるぷーすけを無視して、田丸さんはこちらにゆっくりと近づいてくる。
いやだ。
私、どうすればいい?
ごくりと唾を呑み、必死に冷静にならねばと自分自身に言い聞かせた。