甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
ぷーすけは興奮気味に大きな目を一層大きくキラキラさせながら瀬戸さんの頬を何度も舐める。

「さ、瀬戸さん上がって下さい」

瀬戸さんはぷーすけを抱いたまま、軽く会釈をして玄関の扉を閉めた。

ダイニングテーブルを挟んで、私と樹さんの正面に瀬戸さんとぷーすけが座る。

あの時、二人に依頼された時とは違う席位置は、この数か月に起きた樹さんと私の関係の変化なんだろうと不思議な気持ちになりながら瀬戸さんを見つめた。

瀬戸さんは時折ぷーすけの頭を撫でながら、手術は大変で術後もかなりつらかったけれど、アメリカでの医療チームが最高だったことで退院後はすこぶる調子がいいと嬉しそうに話してくれた。

まだリハビリ中でこれから徐々に運動量を増やしていく予定で、ぷーすけの散歩くらいが丁度いいリハビリになるらしい。

「でも、もしまた私がつらくなった時は、広瀬さんにぷーすけのお散歩をお願いするかもしれませんがよろしいですか?」

瀬戸さん上目使いで私の気持ちを推し量るように尋ねた。

「もちろんです!」

私は彼女の目を見て即答する。

「よかったわ。これからもよろしくお願いします」

瀬戸さんは私ににっこり微笑むと頭を下げた。

「あの、こんなこと言っていいのかわからないけれど、広瀬さん、数か月前と全く別人みたいだわ」

「え?」

「あの時は全く自分に自信がなくてうつむいていたのに、今はしっかり私の目を見つめて返事をしてくださって、とてもイキイキしてるように見えます。何かあったのかしら?」

そう言いながら、少し意味深に口元を緩めて私と樹さんの顔を交互に見つめた。




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