甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
17.なりたい自分
17.なりたい自分
ぷーすけが瀬戸さんの元へ帰ってしまってから、その寂しさを紛らわすかのように必死にトリマーの資格勉強に取り組んだ。
12月が慌ただしく過ぎ、新年を迎えたけれど実家には電話だけの挨拶で済ませ、樹さんと一緒に初詣に出かけた。
家の近くの氏神さまが祀られている神社には地元の人達で毎年賑わう。こんなにもたくさんの人が近所に住んでいたのかと改めて驚きつつ、小規模ながらも楽しげな色を揺らす露店の屋根に目を向けた。
ふと目に留まった綿菓子を買ってみる。
綿菓子なんて子供の時以来かもしれない。
一つまみの綿菓子は、口に入れると甘い余韻を残したまま一瞬で口の中で消え去った。
その余韻が楽しくて、次から次へと口に運ぶ。
童心に帰るってこういうことを言うのかもしれないなんて思いながら、時々優しく見つめている樹さんに笑いかけながら夢中で食べた。
童心に帰れるのも、きっと樹さんがそばにいるからなんだろう。
いつの間にかこんなにも穏やかな気持ちでそばにいられる存在。
「本当においしそうに食べるよね」
樹さんはくすっと笑った。
「樹さんも食べればいいのに」
「遠慮しておくよ。僕は甘いものより辛いものの方がいいかな」
そう言って辺りを見回し、焼きとうもろこし屋の前で足を止めた。
余ったら余ったでいいさと言って、彼はとうもろこしを二つ買う。
例え私が食べなかったとしても、自分の分だけ買うということをしない樹さんの優しさにいつも頭が下がる。
そんな風に私がほめるといつも「パーソナル・サポートで鍛えられたお陰かな」と言って照れ隠しのようにすぐに話を逸らす彼がとても愛おしく感じた。
ぷーすけが瀬戸さんの元へ帰ってしまってから、その寂しさを紛らわすかのように必死にトリマーの資格勉強に取り組んだ。
12月が慌ただしく過ぎ、新年を迎えたけれど実家には電話だけの挨拶で済ませ、樹さんと一緒に初詣に出かけた。
家の近くの氏神さまが祀られている神社には地元の人達で毎年賑わう。こんなにもたくさんの人が近所に住んでいたのかと改めて驚きつつ、小規模ながらも楽しげな色を揺らす露店の屋根に目を向けた。
ふと目に留まった綿菓子を買ってみる。
綿菓子なんて子供の時以来かもしれない。
一つまみの綿菓子は、口に入れると甘い余韻を残したまま一瞬で口の中で消え去った。
その余韻が楽しくて、次から次へと口に運ぶ。
童心に帰るってこういうことを言うのかもしれないなんて思いながら、時々優しく見つめている樹さんに笑いかけながら夢中で食べた。
童心に帰れるのも、きっと樹さんがそばにいるからなんだろう。
いつの間にかこんなにも穏やかな気持ちでそばにいられる存在。
「本当においしそうに食べるよね」
樹さんはくすっと笑った。
「樹さんも食べればいいのに」
「遠慮しておくよ。僕は甘いものより辛いものの方がいいかな」
そう言って辺りを見回し、焼きとうもろこし屋の前で足を止めた。
余ったら余ったでいいさと言って、彼はとうもろこしを二つ買う。
例え私が食べなかったとしても、自分の分だけ買うということをしない樹さんの優しさにいつも頭が下がる。
そんな風に私がほめるといつも「パーソナル・サポートで鍛えられたお陰かな」と言って照れ隠しのようにすぐに話を逸らす彼がとても愛おしく感じた。