甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「よかった。ようやく自分の殻を割れたんだね。凛はなりたい自分になれたんだ」

「ええ。でもそれ以上に樹さんとお付き合いすることを両親に認めてもらえたことが一番うれしかったかもしれません」

「僕もうれしいよ。やっぱり皆に祝福されてこその二人でいたいからな。だけど、凛のご両親はとても素晴らしい方たちだと思う。凛の思いをしっかりと受け止めて、そして、身を切る思いでその手を離してくれたんだ。君が素敵なのは、そんなご両親がいたからだと思う。色んな我慢や不自由なことがあって、今の凛があるんだから」

「はい、私も今はそうだったんだって素直に思えます」

幸せな気持ちを乗せて、まだ空いている高速を車は滑るように進んでいく。

「今日はどこへ?」

「海」

「海?あの鍋島さんのいる港ですか?」

「いや、違うよ。今日はもっと近い。新しい船を用意してるんだ」

新しい船?

今度はどんな船なのかしら。前の船も小さいながらもとてもおしゃれで快適な船だったのに。

この晴天の中、また船に乗ってクルーズしてくれるのかな。

楽しみな気持ちがトクトクと軽やかに鼓動を速めていった。
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