甘くてやさしくて泣きたくなる～ちゃんと恋したい
沈む夕日と共に少しずつ紫がかっていく空が彼の影を濃くしていく。

でも、その目はいつも以上にきらきらしていて、私をまっすぐに見つめていた。

「これから訪れる朝日を、毎日凛と見たい」

「毎日……」

繋がっていく日々をこれからずっと彼と共に過ごしていく。

これからもずっと。

「私も一緒に見たいです」

「それは、僕と結婚してくれるって返事だと思っていいかい？」

結婚するんだ。

私、樹さんと。

少しずつその言葉の意味とこの状況が私に染み渡っていく。

私は彼の目をしっかりと見つめ返しこくんと頷いた。

その瞬間、彼は目を細め穏やかに微笑むと、私を力強く抱きしめる。

「ありがとう」

私もぎゅっと彼の背中を抱きしめた。

「君に出会えたのは奇跡。僕の人生をかけて凛を守り抜く」

「私もこれからは樹さんの力になりたい。今までずっと助けてもらってばかりだったから」

「そばにいてくれるだけで十分力になってるさ」

もうすぐ暗闇が訪れるけれど、彼の瞳の奥には輝く朝日が見える。

静かな波は、夕日の名残を惜しむかのようにわずかに残るオレンジ色を揺らしていた。




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