甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
封筒をしっかりと胸に抱き、ちょうど到着した電車に飛び乗る。

絶対手放せない大切な封筒。

私のこの胸に抱いた中には間宮さんの描いたデザインが入ってるんだ。

そう思うだけで胸が高鳴る。

明日、間宮さんに会えるのかもしれない。

だけど、間宮さんに会わず受付で封筒だけ手渡して帰ろうかと思っている。

淡いこの恋は、淡いままで終わらせたい。

だからもう会わずにいたい。

偶然以外は……なんてまだ微かな期待を消せない自分の優柔不断さにあきれる。


ようやく最寄り駅に到着というところで突然私の肩が後ろから叩かれ、振り返ると高校時代からの親友、山並 弥生(やまなみやよい)がにんまり笑っていた。

「弥生?」

久しぶりに見た彼女の笑顔に思わず大きな声が出る。

「凛!久しぶりだね、元気してたぁ?」

弥生とは高校のテニス部で一緒だった。何事も真面目で前に習えのおもしろみのない私と違って弥生は自由奔放で明るくて楽しくて彼女の周りにはいつも友達がたくさん集まっていた。

「あれ?仕事で今北海道にいるっていってなかったっけ?」

弥生は婦人下着の大手メーカーに就職し営業でばりばり働いていた。私なんかとは違い、男性さながらのポジションだったから当然転勤も余儀なくされ2年前北海道に転勤になったと言っていたはず。


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