甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
その時、スマホが間宮さんからの電話を着信する。

慌てて手に取り耳に当てた。

「広瀬さん?」

「はい」

「店に置いたままになってたみたいだ。店長がすぐに封筒を忘れているのに気づいて君たちを追いかけたんだけど追いつかなかったって。店長が手元に持っててくれたのはラッキーだったよ」

よかったぁ……。

あまりにうれしくて安堵したときは声も出ない。

大きく息を吐いて、間宮さんと繋がっているスマホを両手で握りしめる。

「本当にありがとうございました」

「まだ店長は店にいるみたいだから今から封筒を受け取りに行きたいんだけど、とりあえず広瀬さんにも現物を確認してもらいたいから一緒に来てもらえるかな?夜遅いんだけどいける?」

壁時計に目をやると、もうすぐ午前1時になろうとしていた。

「はい、一緒に伺います」

そんなこと当然だった。

私のせいでこんな遅くまで間宮さんにも店長にも迷惑かけちゃったんだもの。

それに、また間宮さんに会えるなんて。

もう会えないと思っていたのに、またこうして会えることに胸が熱く震えていた。

「遅い時間で危ないし、今から迎えにいくよ。申し訳ないけれど住所教えてくれる?」

「え?そんな……申し訳ないし私出向きます」

「っていうか、もう電車も走ってないし」

そう言うと、間宮さんは電話の向こうでくすっと笑った。

「確か君とこの間出会った公園は広瀬さんの家の近く?」

「はい」

「じゃ、僕もその隣り町に住んでいるから近いし問題ないよ」

申し訳ないと思いつつ、そんな優しい言葉をかけてくれる間宮さんに自分の住所を告げる。

間宮さんはすぐに向かうからと言うと電話は切れた。




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