甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「ふぅん」

間宮さんが横でニヤッと笑う。

「広瀬さんみたいな女性がそんなこと言うと、一層真実味が沸くね」

「そうですか?」

「そんなこと考えたり言いそうにない人が言うのが一番説得力を感じる」

「わかったようなこと言ってすみません」

彼はひょっとしたら私を試しているのかもしれない。

軽々しく間宮さんの言葉に反応してしまったから。

なんだか自分の浅はかさが浮き彫りになったみたいで恥ずかしくなる。

「あやまらなくたっていいよ。君の言ってることは全く間違っていないし、僕も同感だから」

「はい……」

間宮さんはきっととても心が広い人なんだろう。

こんな小娘が偉そうなこと言っても気にしないくらい。

「広瀬さんとは偶然顔を合わせて3回目だけど、とても興味深い女性だよ」

口元を緩めたまま言った彼の横顔に視線だけ向ける。

「あの……興味深いって、どういう意味ですか?」

「本音のところをもっと知りたくなる」

「本音?」

「端的に言っちゃうと、もっと広瀬さんのこと知りたくなるってこと」

それは?

いい意味?

それとも、私が変わってるってことが言いたい?

間宮さんのその言葉の真意がわからず、だまったまま前を向いた。


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