甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
ぷーすけのために水を入れていたボールが空になっていたので、すぐに水を入れてやる。

床に置く前からぷーすけは私が手に持つボールに顔を突っ込んで、しゃぶしゃぶと水を飲んだ。

「喉乾いてたのね、帰るのが遅くなってごめん」

私はおいしそうに飲むぷーすけの頭をゆっくりと撫でた。

間宮さんは今頃イタリアで何してるのかな。

自分の作品を各国のデザイナーに紹介してる姿が目に浮かぶ。
体にフィットした濃いグレーのスーツをきちっと着こなし、少し上げた前髪が知的な額をわずかに隠す。そして、隙のない端正な顔立ちに印象的な美しい切れ長の目が穏やかな微笑みを湛え、流暢な外国語で談笑しているんだ。

そんな想像するだけで胸がキュンと切なくなる。

私、重症だわ。

一方的な恋心は妄想だけが加速して、理想と現実の区別がなくなり危険だって何かの本で読んだっけ。

ぷーすけのお世話が終わったら、きちんと自分の気持ちにけじめをつけて間宮さんへの恋心を断ち切らなくちゃ。

断ち切る?ってどうやって?

思い切り派手に失恋するしかないよね。告白して振られるとか。

告白!?

一気に顔が熱くなって、思わずぷーすけを撫でていた手が止まりもう片方の手で頬を押さえた。ぷーすけは不思議そうに首を傾げ私の顔を見上げている。
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