甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
告白なんておそれ多いけれど、いずれにせよきっとこの恋は片思いで終わる恋なわけで。

神様がなんとか繋いでくれた縁でここまで来ただけで、彼の核心には全く触れられてはいない。

あんな素敵な男性が私みたいな取り柄のない面白みのない女性を好きなわけがないもの。

今はぷーすけのお陰でそばにいさせてもらえてるだけ。

ぷーすけがいなかったら、きっとこんな状況にはならなかった。

「ぷーすけにはありがとう、だね」

私は水を飲み終えてきちんと私の前でお座りしているぷーすけを抱き上げる。

ぷーすけは「ワン!」と一回なくと、私の頬をペロペロと舐めた。

「もう少しだけ間宮さんのそばにいられるお手伝いしてちょうだい」

もう少しだけ。

私の人生にとってそれはかけがえのない経験になると思うから。

その時間宮さんのリビングの電話が鳴った。

二週間、彼が不在の間は『パーソナル・サポート』のお仕事はお休みにしていて常連さんやインターネットのサイトにもその告知はしているんだけど、休みであることを知らない依頼者からだろうか、一日何回か電話が鳴る。

間宮さんからは留守電にしておいて、電話は取らなくていいと言われていた。

私はぷーすけを抱いたままリビングに向かいソファーに腰を下ろす。

電話はすぐに切れ、またすぐかかってきた。

そして何度か鳴った後、留守電に切り替わる。
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