甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
「広瀬さんの真面目でいつも一生懸命なところ、すごくかわいいと思うけど」

それ以上言われたら恥ずかしすぎてこの部屋から飛び出したくなる。

「君みたいに真面目でまっすぐに生きるということは実はとても難しいことなんだ。自分の信念なんて、ちょっとしたことで揺らぐものなのにそれが揺るがないってことだろう?僕は尊敬の念さえ抱くよ」

彼は真面目な顔でそう言った。

なんだかわからないけれど、胸の奥から熱いものが込み上げてくる。

うれしい以上に、今の間宮さんから言われた言葉に感動していた。

否定され続けた自分の性格を「尊敬する」だなんて。
そんな風に言われたことは未だかつてなかったから。

「でも、もし、そんな自分でいることが苦しいなら、少しだけその固い甲羅を脱げばいいんじゃない?少しくらい羽目を外して自分の衝動に任せてみるのもいいかもしれない」

「衝動?」

「こうあるべきっていう気持ちの裏側にある、感情。時々疼くことない?」

間宮さんは少し試すような表情で私を尚も見つめる。

「例えば」

私は間宮さんの目をじっと見つめ返した。

「本当はいけないけれど、この人とキスしたい、っていうような気持ち」

顔が一気に沸騰する。間宮さんにキスされる想像、どれだけしたんだろう。

まるでそのことを見透かされているみたいで、とてもそれ以上彼の目を見つめ返すことができなかった。
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