勇者のための聖女


緊張して指が思うようにボタンを外せずもたつきながらも何とか全て外すと、自らの来ていたシャツも脱いでいく。

その間、勇者は一言も発さずにただ聖女を見つめていた。


勇者は上半身のみ晒し、聖女は一糸まとわない姿になると、遠慮がちに勇者の唇に自分の唇を重ねた。

毎日何度も行なっている行為であるはずなのに聖女のこれは拙さが抜けず深くなっていく気配もない。

微かに震えながらもなんとか先に進もうと必死な聖女を堪能した勇者は笑みを浮かべ満足そうにしているが、エルミナージュは全く気づかない。



勇者は聖女の肩を軽く掴んでキスを止めた。

聖女は自分が勇者を満足させることが出来なかったのだと感じたのか再び不安そうに見つめてくる。

「ミーナ、キスはこうやってするんだ。何度も教えてきただろう?」
「……え…?……んっ!!」

聖女が理解するよりも早く抱き寄せられキスが再び始まる。
窒息しそうになっても勇者はいつもキスをやめてくれない。きつく抱きしめられたたまま唇を塞がれ動きを封じられる。


苦しいはずなのに、聖女は喜びを感じてしまうのだ。

無抵抗なまま行為はどんどんエスカレートしていく。

エルミナージュがくたりと勇者に身を寄せると今度は身体中へのキスが始まった。

エルミナージュの身体にはいたる所に勇者の印が刻まれている。消えそうなものから新しいものまでを辿るように印は増えていく。



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