超能力者暗殺げぇむ
「いっつぁ・・・・・・」

頭がガンガンと痛い

あの後、手紙の入った袋を公共のごみ収集所に捨てた

気味が悪いから

もう一度試してみたけど、やっぱりあのアプリはアンインストールができない

怖い・・・・・・その一言だ

放置するしかないけど、あのアプリが消えないというのは中々辛い

何も害がないならいいけど

そして今、夜の11時が過ぎたあたり

自室でSNSを漁っていると、妙に頭痛がひどい

どことなく息苦しい

風邪でも引いたかな、と思って市販の風邪薬をこっそり飲んだけど、さっぱり治らない

どうしちゃったんだろ

「もう寝よ・・・・・・」

痛みに耐えきれなくなって、あたしは仕方なくスマホの電源を落とした

そのままスマホ机に置いて、ベッドに横になろうとする

が、その途端に机の上に置いたスマホがバイブした

「ん?」

体調の優れない体を起こし、ゆらゆらと揺らぐ視界の中でスマホを手に取って画面を確認した

そこには、ひとつのアプリからの、通知

『暗殺必須期間が残り1時間を切りました。お早めに暗殺を決行してください。暗殺しない場合はこちらからあなたを殺します』

淡々と連ねられた文章

まさか・・・・・・

「あたし・・・・・・体調が良くないのって」

これが原因なの?

いやでも、流石に離れた人の体調なんて・・・・・・調整できるはずがないし

でも、殺すという文字が、やけに現実的に聞こえた

「・・・・・・違う。現実になんて、反映するわけが」

決して、人を殺すわけでも、殺されるという嘘くさい言葉に恐怖して、やったというわけでもない

だって、ゲームだから・・・・・・ゲームは、楽しむものだから

やりたいって思ったら、やらなきゃいけないから

「あたしじゃない。あたしじゃないもん」

スマホのパスワードをすぐに解いて、あのアプリを起動する

ロードが終わり、スタート画面になってすぐ、あたしは地図を開いた

駅の様子、あたしがよく通る通学路に似た道、コンビニやショッピングモール・・・・・・

沢山ある中、あたしは映し出された映像から適当に1つの場面をタップし、会社帰りと思われるOLの女性を暗殺した

血まみれになる女性が映された液晶から目を背けた

「ほら、たったこれだけ・・・・・・これだけすれば、生きられる」

譫言のように呟き、あたしはそのあとすぐに眠りについた

あんなに息苦しかったのが、いつの間にか消えていたのに気づくことも無く
< 18 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop