桜の木に寄り添う

バーにて

カランカラン

 バーに着いて、扉を開いた。
 車いすの私でも開けやすくなっているその扉を。

 お茶といっていたのはわかっていたけど、私は叫んだ。

「 少しだけ、強めのお酒飲みたい!」

 いつもと違う様子の私を見て驚いていた。

「何があったの?だめだよ、なつはカクテルね」

 そこは、知り合いのバー。
 同級生の男子だけど女子のバーテン。
 実は元彼だったりする。
 よっちゃんとも仲良しだ。


 今は良き相談相手だ。
 名前はコウちゃん。バイセクシャルである。
 別れた後にカミングアウトを受けたが別に驚かなかった。
 なんとなくだけど、乙女な感じはしていたからだ。

 私の愚痴をいつも聞いてくれる安心できる存在。
 姉のような兄のような……

 そして、今まであった事を全て聞いてもらった。

「 でも、安西さんには悪いと思いながらもなんか少し気になるの。私っておかしいよね?」

「 それはね、恋じゃなくて、憧れなのよ。そのシチュエーションに 」

 なるほどね。

 会ったっていっても一瞬だし、恋なわけがない!

 モヤモヤしたものがとれた気がする。

 やっぱりよかった!
 ここにきて。

「やっぱりよかった!ありがとう!」

「変な子ね。」

 私はカクテルグラスを見つめながら
 肩をなでおろした。

 あ、メールがきている。

「なつ、手紙送ったからみてねー!」

 また彼氏の愚痴だ……

 私の話もたまには聞いてよと私は思った。

 私の悩みも聞いて欲しいと素直に言えればいいのに。人の悩みを聞いてばかりいる私もだめだよね。

 素直になりたい。もっと素直に。
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