桜の木に寄り添う

来客

よっちゃんと私は、雨宿りをしていたら上重さんがお店から出てきた。

「 あら、なっちゃん!大丈夫?お店の中に入りなさい 」
 そう上重さんに言われ、私達はお店の中に入る。

「 あ! 」

 お店の中に入ると、お客さんが来ていた……

「 なつ!元気だった!? 」

 その人物は、前のお店の店長だった。
 お店の内装を見に来てくれたのだろうか。

「 はい、店長も元気そう! 」

「 良い雰囲気だね!上重さん、ありがとうございます!なつ、しっかりやれよ! 」

 店長は、私をいつも励ましてくれている。
 仕事もそうだけど、人生の先輩として心から尊敬できる人だ。

 上重さんと店長は、内装の話を細かく話し合っている。
 そんな中、店長は思い出したかのように私に話かけてきた。

「 そうだ!壁の絵の事は話できた? 」

「 はい。一応話をしたけど……まだどんな絵になるか…… 」

「 そっかー!お店の名前は? 」

「 店長決めてくれませんか? 」

 店長は、困ったような顔をしていた。

「 なつが決めないと意味がないよ 」

「 決められないから困ってるのに…… 」

 よっちゃんも微妙な顔をして話を聞いていた。

「 俺が決めてもいいですよ! 」
 冗談っぽく、よっちゃんがそう言う。

「 なっちゃん、決まったらすぐ言って!早めにお願いね 」

 本気でもうそろそろ決めていかないと。
 私の中でどんどん気持ちが高ぶり始めていた。

「そろそろ、 雨止んだかな?なっちゃん、傘あるからね! 」

「 はい、ありがとうございます! 」

「 なつ、頑張れ 」
 そう言いながら店長は私の頭を軽く撫でる。

 私とよっちゃんは傘を貸してもらい、店長と上重さんに見送られ外に出る。

 傘は一本しか無かった為、自然と相合傘になる。
 よっちゃんが傘を持ってくれて、私のペースに合わせながら歩いている。

「 なつ。ヒロキ、明日には来るらしいよ 」

「 あれ。来週じゃなかった? 」

「 お前が心配なんだろ 」

「 聞いてないけどなぁ 」

 そんな会話をしている間に、マンションにすぐ着いてしまった。
 私達は、エレベーターに乗り込み部屋へと戻る。

 ガチャ

 玄関を開けると見慣れない靴が並べてある。
 誰か来ているのだろうか。

 カタカタカタ

 私はよっちゃんに手伝ってもらいながら部屋へと移動する。

 そこにいたのは……前に、エレベーターの外で会った可愛い女の人だった。

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