桜の木に寄り添う

甘めのシュークリーム

「なつ、シュークリーム買って来ちゃった!一緒に食べよう!」

 大きな声で叫ぶから何事かと思って慌てて出てきたら、シュークリームを買ってきてくれたみたい。

 昔からお母さんは疲れてくると必ずと言っていいほど、甘いものを買ってくる。お母さんにとって甘いものは癒されるのだろう。

 きっとお母さん、疲れてるんだねといつものように思っていた。


「 なつ、最近あの悪夢は大丈夫?」

「 うん、最近大丈夫だね 」

「 悩みありそうな顔してるよ、毎日 」

「 えっ!?」

 お母さんには、いつも嘘つけない。

 何でもお見通しなんだね。

 毎日会わなくても、すぐ気付いてくれる。何も言わなくてもわかってくれているんだね。

 母親って……すごいな。いつもそう思っているよ。私もちゃんと気付けているのだろうか。

 お母さんには敵わないよ。

 私のお母さんは、色々と苦労してきている人だ。

 母子家庭で、私を育ててくれた。感謝してもしきれないよ。

 その分、夜もいないのは当たり前だった。

 一人っ子の私は、幼い時は寂しかったけど、その寂しさを埋めるために、桜の木のところへ行き、一人遊びをしていた。

 そして……あの男の子と出会ったんだ。寂しかった私に光をくれたんだ。


 毎日、毎日、飽きずに日が暮れるまで、よく遊んだなぁ。

 桜の季節になるたびに、つい思い出してしまう。今はどうしているかな。元気にしてるかな。

 またきっと会える日がくるかもしれない。

 最近は、そんな予感はしていた。

 手紙の事もあったし。

 お母さんと私は美味しいシュークリームを食べて
 まったりと時間が過ぎていった。


 最近色々ありすぎて、私も疲れた。

 甘い甘いシュークリームのおかげで

 疲れが吹き飛んだ気がした。


 お母さん、きっといつも心配かけてるよね、ごめんね。
 事故の事もあったし……。
 そのせいであの悪夢まで……。


 私、でももう大人になったよ。
 心配かけないように、努力して成長するよ。

 大丈夫だから。

 心配しないで。

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