桜の木に寄り添う

海と桜のカクテル

コウちゃんのバーへ向かうことにした。
 今日は、甘い甘いカクテルが飲みたかった。
 気分良く飲める居心地のいい場所。

 昔ながらの雰囲気はあるけど、薄暗い中の照明がとっても綺麗で落ち着く。


 そう思いバーの扉を開けた。


「いらっしゃい。」

 コウちゃんはいつも優しい笑顔で、明るく出迎えてくれる。

 そこには、よっちゃんも座っていた。

「よう。」

「久しぶりだね。」

 よっちゃんとコウちゃんに話した。

 ヒロキくんに会えたこと。
 安西さんの彼氏だということ。
 安西さんに呼ばれていること。

 などを全て話した。

「なつ、まさか、恋愛対象じゃないよね。」

 コウちゃんが言った。
 私は何も言えなくなってしまった。

 まさか憧れから恋愛に変わるなんて、自分でも信じられなかったから。



 ずっとずっと、大事に持っていてくれた。
 桜のポストや色褪せたキーホルダー……。



 とてもとても嬉しかったから。
 私なんかの為に、忘れずにいてくれた事も。


 過去のことがずっと気になっていたのかもしれない。

「 なつ、今日は飲もう。おごるよ 」

 よっちゃんがそう言った。

「 よっちゃんがそう言うなら、たくさん飲んじゃおう 」

 みんなで笑いながら楽しくお酒を楽しんだ。

 甘い甘い、カクテル。

 ブルーのカクテル。

「 海を見てるみたいだね 」

 ピンクは桜。

 綺麗な色のカクテル。

 コウちゃんが作るカクテルは、いつも最高だなー。

 甘い甘いカクテルは、魔法がかかってしまう飲み物だった。
 お酒もまわってしまい、その場に寝てしまった。


「 あー、寝ちゃった。今日はもう店閉めるよ。あたしが連れて帰るから 」

「 じゃーよろしく 」

 よっちゃんは帰ってしまった。

 コウちゃんは、私を背負い車に乗せた。
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