桜の木に寄り添う

悩み

「 お前、暗闇で何やってんだよ 」

「 うん。ちょっと帰れなくて 」

 缶コーヒーを飲みながら、俺はヨシトに全て話した。


「その女やばいな。絶対本気だと思う 」

「うん。わかってる 」

「 何かあったら許さないけどな。お前が弱気なことも許さない 」

「 え?」

「 俺が好きだったの、知ってるだろ?」

「 そうだったの?」

「 お前も鈍感かよ!」

「 この前、振られたんだよ。ださいけど 」

「 そっか 」

「 守れよ。最後まで。一人じゃない。みんないるだろ」

「 心強いよ 」

 しばらく話ししたあと、ヨシトと別れ家に戻った。

 ゆっくり静かにドアを開けた。

「遅いよ!」

 なつみが少し怒った顔をして言った。

「すまん。二人とも飲みすぎ 」

 何かあったと悟られないように、何もなかったかのように俺は振る舞った。

 酔っ払った二人を部屋へ運び、俺は部屋にこもった。
 一人になって考えたかった。
 きっと何も気づかれてないだろう。
 心配や不安させるような事はしたくない。
 もちろん、傷つけることも……。

 今の俺にできる事は、何があるだろう。
 不安で締め付けられそうになりながら、しばらく考えようと思った。

 ーーーーーー


 今日の二人、嬉しかったんだろうな。

 私もとても嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。

 買ってきたアロマオイルをディフューザーにセットした。

 本当にいい香り。癒される。

 多くの人を癒せるように、もっともっと仕事頑張らなくちゃいけないな。

 たくさんの人に幸せを与えれるような。

 私はこの時は、ヒロキくんが悩んでいたことも何も知らなかった。

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