桜の木に寄り添う

指名

あれからあの手紙の事が気になって仕方がない……。


 毎日、気をつけて見るようにしていたものの、あれから何もない。

 なんだったんだろう。
 不思議で仕方なかった。

 考えていても何も変わらない。
 ただただ不思議だった。


 そしたら、店長が話しかけてきた。

「なつー!お客さんから指名きたよー!」

「本当ですか?嬉しい!」

 指名のお客様はなかなかいない。

 田舎だし、知っている人しかこないし。

 でも、指名してくれるなんて嬉しいな!
 全然知らない人に、指名してもらえるなんて初めての事。
 どんな人かな。

「はじめまして、安西といいます。このお店の前を通ったら可愛い子がいたので、ぜひあなたにやっていただきたくて。お願いしますね!」

「はじめまして。可愛い子だなんて……よろしくお願いします!」


 びっくりするほどの綺麗な女の人。

 見かけた事も当然ない。
 指も長くて、スタイルもいい綺麗な人だった。


 マッサージを始めて少したった頃。



「友達になってくれる?」

 安西さんが、ふと私に言った。
 きっと友達が欲しかったに違いない。
 何故、私なのかは全然わからない。

 でもきっと何かを感じるものがあったのだろうと思い、返事をした。

「はい、ぜひよろしくお願いします!」

 私と安西さんは全然違うタイプ。

 安西さんは、大人で積極的な人にも見える。


 こんな美人で綺麗な人と話は合うけど、友達になれるかな。

 だけどその時の私は、嫌な感じはしなかった。
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