桜の木に寄り添う

願い

あかりちゃん……。
 私が何かして、乗り越えられる問題ではないかもしれない。
 それでも、いい。私が何かする事で励みになるなら。
 病院に毎日通っている、あかりちゃん。

 お母さんに会えるかもしれない……。

 あの一言が私の中でずっと、心の中に残ってしまっていた。
 胸の中がぎゅーっと締め付けられるような思いがしていた。
 辛いからとかじゃなく、あかりちゃんが大人になった時、少しでも辛い気持ちにならないように。

 誰かが手を差し伸べた事。

 一人じゃない事。

 そう思えるだけでも、きっと力になれると思うから。

 あかりちゃんが大人になって、誰かが困っていた時、力にもなってあげられる。

 私はそう思うから。

 公園や病院で何度も出会った事を思い出していた。

 神様が、私とあかりちゃんを引き合わせてくれたんだと思った。

 だから、だからこんな私でもきっと力になれるよ。
 私は確信していた。

 コウちゃんからの電話を待ちながら、会えることを考えていた。

 どんな言葉で……表情で……あかりちゃんは乗り越えられるだろうか。

 言葉で心の中の辛い気持ちを抱きしめてあげられるだろうか。

 私は、自分の事のように、力強く願うように電話を待っていた。
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