桜の木に寄り添う

新しいカフェ

安西さんと私は、休みの日にカフェに行く約束をしていた。

 安西さんは、私より少し年上の優しいお姉さん。

 大人の女性だ。

 いいなぁ、憧れる。
 素敵な人だなぁ。

 ここは、最近できた新しいカフェ。

 クロワッサンが有名で若い人も集まってきている。
 新しいお店は、田舎には珍しいくらいの人が集まっている。
 白を基調としたオシャレなカフェだ。

「ここのクロワッサン、本当に美味しいね!」

「はい!とても!」

 突然、安西さんが質問をしてきた。

「 なつみちゃんてさ……彼氏いるの?」

「 いないです 」

「 そうなんだ!私は彼氏いるんだー!でもその彼が最近冷たくて 」

「 そうなんですね 」

 マンネリ?しちゃってるのかな?
 こんなに大人で素敵な人なのに悩みがあるんだなぁ。
 相手の人もきっと素敵な人なんだろう。


 安西さんが、何枚かの写真を差し出してきた。

「 最近、彼氏がさ、写真撮ってくるの。木の写真ばっかりでさ 」

「木の写真ですか?」

 木の写真……。
 なんだかずいぶん、冷たい言い方に聞こえた。
 興味がなさそうな雰囲気。

「 花が咲いてる時みたけど、たぶん桜の木だとおもうんだー!」

 見覚えのある桜の木のような感じがしていた。
 でも私は知らないふりをしてしまう。

「 写真好きな人なんですね!」

「 そうなのー。困っちゃう!私があげたハンカチも無くすし 」

 どんなハンカチだったのか聞いてみたところ。

 あの……ハンカチ……?

 もしかして……。
 なんとなくピンときていた。
 でもそんな偶然て……あるのかな。

 偶然すぎて少し怖かった。

 安西さんの彼氏さん。

 あのハンカチの事だとしたら、やっぱり落し物だったんだ。

 持って帰って、洗ってしまった。


 でも返さなきゃ……。
 どうしよう。

 でも安西さんに渡したら、きっと

 へんに思われるよね?

 私はどうしたらいいかわからなくて、伝えることすら出来ない。

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