桜の木に寄り添う

お婆さんの言葉

ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……

 電車はゆっくりと一駅、一駅進んでいく。

 コウちゃんからメールが届いた。
 ーーあかりの居場所わかる?ーー

 私は、思いつく場所は……

 一箇所だけある。
 私とあかりちゃんが、出会ったあの場所。

 そこにあかりちゃんがいるかは、わからない。

 でも、今はそこしか思いつかない。

 必死に記憶を辿り、思い出そうとしていた。

 ヒロキくんにもメールをして、思いつく場所を探してもらおうと思ったが、返信はなかった。

 どうして、いなくなってしまったんだろう。

 私の夢の中に出てきた、女の人の声……

 あかりちゃんだったのかな。
 胸騒ぎがして、不安になってしまう。

 早く探し出さなきゃ。

 その時、さっき話しかけてきたお婆さんが、こっちを見ていた。

「 なんですか? 」

 不安になった私は、お婆さんに話しかけた。

「 あなた、いったい何があったの? 」

「 知り合いの女の子がいなくなってしまって 」

 私は、お婆さんに今起きている事情を話した。

「 その子がいなくなった理由を考えてごらんなさい。答えは必ず出てくるはずだよ 」

 いなくなった理由……

 シャボン玉した事を思い出した。

 あの時話した事や、今までの出来事。

 洗いざらい思い出そうと、電車の中でずっと考えていた。

 その時の私は、まだ気づいてなかった。

 お婆さんのあの言葉が……この先を左右する事になることも……
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