桜の木に寄り添う

妹からの電話

そんな事をくよくよと私は考えてしまっていた。
 昔の私みたいに、なんとかなる!!みたいな元気はどこにいってしまったのだろうか。

 弱気な事ばかりを考えていても、道は開かないのに……
 考えていても、何も始まらない。

「 あ!! 」

 なつみは、閃いたかのように急に大きな声を出した。

「 思い出した!リエ、さっきの子ってさ!ヒロキくんの妹じゃないかな? 」

「 あー、そういえばいたよねー!妹 」

「 うん、さっきの子前に見たことあると思ってたんだよね 」

 とても可愛い子だったなぁ。
 ヒロキくんも、何だかんだカッコイイって言われてる方だもん。

 私が呑気に考えている頃……
 ヒロキくんは、家族間の問題に悩んでいた。

 ーーーー

「 もしもし、お兄ちゃん?何でうちのマンションにあの車いすの人がいるの? 」

「 少し貸してるだけじゃないか。何で急にそんな事を言うんだよ! 」

「 お兄ちゃん最近、変だよ!あの人のせいじゃない?あの車いすの人とお兄ちゃん一緒にいて幸せになれるの?」

「 今は、ゆっくり話せないから来週そっちに言った時に説明するから。」

 ガチャ

 ヒロキは、妹の電話を無理矢理切った。

 妹は、兄思いの優しい子だ。
 なつみと一緒にいることをなぜあんなに嫌がるのだろう。
 どうして、あんな言い方を。
 妹は、味方でいてくれると信じていたからショックだった。
 俺は、妹のあの言い方に物凄く、腹が立ってしまった。

 何か、なつみに言わないだろうか。
 心配と不安が押し寄せる。
 なつみをこれ以上悲しませたくはない。

 早めに東京に行こうと決めていた。
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