桜の木に寄り添う

繋がり

あのメモに書かれた住所……
 きっとあの場所に違いない。

 そこは、私があかりちゃんに連れて行ってもらったあの場所だ。

 私が気になっていたあの小屋は、おばあさんの家だったのだろうか。

 あのおばあさんは、何者なんだろう!?
 不思議でたまらなかった。

 世の中の狭さを実感してしまう。
 関係ない人だと、その時は思ってしまう。

 しかし、後々繋がっていく事もあるだろう。
 誰しもが経験している事かもしれない。
 人と人が繋がってみんな生きていく。

 そんな事を自分が実感する事になるとは思わなかった。

 まさか。こんな事って……本当にあるのかな。

「 リエ、このメモに書かれたこの場所。私が行った場所かもしれない 」

「 えっ!?そんな事ってあるの? 」

 リエも目を丸くして驚いている。

 私も物凄くびっくりしたんだもん。
 誰だって驚くよね。まさか、こんな風に繋がっていくなんて……

 運命なのか。偶然なのか。
 それすら分からない。

 でも……あのおばあさんから貰った額縁。

 ご主人の描いた絵を飾っていた大切な額縁な事には間違いない。

 私も大切な人が描いた絵を飾れるんだ。

 おばあさんにも、ヒロキくんが描いた絵を見てもらいたい。

 きっと、おばあさんも喜んでくれるに違いない。

 私があの額縁を大切にできるように。

 そして、ヒロキくんが描いた絵をいつまでも見守れるように。

 ヒロキくんがこっちに来る前に、明日にでもおばあさんに絵を見せに行こうと、私は決めていた。

 しっかりと貰った額縁をぎゅっと握りしめていた。


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