Ｆａｋｅ!!（フェイク）～漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語～

「エドガー、いいか？俺は…お前の幸せを願って…」

どうしても納得がいかないロニィは、イライラと身体を揺すりながら言葉を続ける。
だが、それは途中でエドガーに遮られた。


「違うよ！ロニィ…違うんだよ。僕の幸せはロニィと一緒にいること。君を失った時…それがわかった。」


彼女の言葉に、ロニィは吐き出しかけた言葉を飲み込み、額にかかる濡れた髪をかきあげ地に視線を落とした。


「俺も…お前と同じだよ。人を愛おしいと思う気持ち…お前の側にいたい…そいつを今回の課題が教えてくれた。」




「…お帰り…ロニィ。」

「…ただいま。」

エドガーの言葉に、ロニィは伏せていた顔を上げ優しい笑みを浮かべると、彼女に向かって大きく両手を広げた。


「ロニィ！」

彼の胸にエドガーが飛び込む。
その小さな身体をしっかりと抱きしめ、ロニィは彼女の耳元で囁いた。



「愛してる。」

“愛してる…愛してるよ…”

甘い魔法の言葉が彼女の身体にジワジワと染み渡った。
恋人達は、視線を絡め合い何度も口づけを交わした。