Ｆａｋｅ!!（フェイク）～漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語～

【国王からの書状】

「…で、これが国王からの書状？」

エドガーが、馴れ馴れしく俺の肩に顎を乗せ、封筒を開ける手元を後ろから覗き込む。

「鬱陶しい！離れろクソガキ！」

俺は尚もまとわり付くエドガーを追い払うように体を揺すりながら、王室仕様のくせにやたら派手で、趣味の悪い便箋をガサガサと広げた。

「えーっ！なんだよ、白紙じゃないか！」

いつの間にか奴は俺の膝に上がり込み、便箋を見ると口を尖らせた。

「この手紙はな…バカには読めねーの。って事は、お前は相当バカだな。」

俺は意地悪く言うと、エドガーの顔を見下ろした。

「なっ、なんだよ！」

奴は耳まで赤くなると、悔しそうに俯いた。


（へへっ、この位苛めたって罰は当たらねーだろ。）

俺は暫く奴の反応を楽しんでいたが、そいつにも飽き、便箋をヒラヒラさせながらエドガーに言った。


「な～んてな。今のは軽い冗談だ。コイツはこうすれば読むことができるんだ。」

俺は、便箋の表面を指で軽く弾いた。
すると、便箋がブルブルと震え、そこから男の声が響いた。