Fake!!(フェイク)~漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語~
「魔女に呪われたんだ。」

ムッツリとした顔で、エドガーが答えた。

「呪いだって?そうか、成長を止められたか。だが、術者を捕まえて呪いを解かせれば…」

「もう手遅れさ。怒りで我を忘れた親父が魔女を殺したんだよ。」

エドガーは諦め顔で大袈裟に肩を竦めると、カップの紅茶を飲み干した。


(アホか!これだから素人は…。術者を殺っちまったらお終いじゃないか。)

「…という訳だから、年齢については納得して貰えたかな?」

満足そうにアホ親父は髭を扱きながら頷いている。


(よかねーよ。事態をややこしくしたのはテメェだろーがよ!)

俺は再び心の中で毒づいた。

「じゃあ、なんでエドガーの婿が俺なんだよ。こっちの方はどう説明するんだ?」

「占いだよ。」

またしてもエドガーが、面白くなさそうな表情を浮かべ口を挟んだ。

「占いだって?何だそれ。」

「親父の夢占いに、アンタが出たんだよ。左肩に薔薇のような痣のある長身で黒髪の魔導師…そいつが僕を…。」

「僕を…何だ?」

最後に歯切れの悪くなったエドガーを促し、俺はもう一度聞き返した。

「何でもない。アンタの肩にはあるんだろ?薔薇のような痣がさ。」



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