Fake!!(フェイク)~漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語~
「あっ、ロニィ、おはよう!」

マグから立ち上る湯気の向こうに、いつもと変わらないエドガーの笑顔が見える。

「今日は随分早いな。」

「うん。神殿へ向かうと思うと気が高ぶっちゃったのかなぁ。早く目が覚めちゃった。」

「そうか…。」


(嘘だな。目の下に隈ができてるぞ…殆ど寝てないんだろ?)

ロニィの胸がズキンと痛み、無意識に左胸をシャツの上からきつく掴む…鋭く突き刺さる自責の痛みは、暫くの間彼を攻め続けた。


「今日で全てが終わる。お前の呪いもきっと解ける。」

「うん。」

「エドガー、提案があるんだが…呪いが解けたら暫く旅に出ないか?」

「旅?」

「そうだ。なんて言うか…その…ハニームーンってやつさ。」

「ハニームーン?ホント?ホントに本当?」

「ああ。」

「じゃあ、約束!指切りだよ!」

ロニィの言葉にエドガーの顔はパッと綻び、彼女は可愛い小指を顔の前に突き出した。
その指に自らの小指を絡め、ロニィは精一杯の笑みを浮かべた。
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