Fake!!(フェイク)~漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語~
「うわぁ、嬉しいな。ハニームーンかぁ♪」
嬉しさのあまり、トーンが高くなったエドガーの声に、周囲のテーブルがざわめいた。
“あんな小さな子を…。”
“恥知らずめ、地獄へ落ちろ。”
“いい男なのにねぇ…勿体ない。”
ロニィへの誹謗中傷が狭い宿の中に波紋のように広がった。
(うわっ、まずった。)
ロニィがその場を取り繕うように、周囲に向かってつとめて紳士的な笑顔を振りまいた。
「違うよ、だって僕、本当は…おん…。」
「エドガー!」
慌てて片手でエドガーの口を覆うと、ロニィはそのまま彼を抱きかかえ、全力疾走で客室へ戻った。
「すまない…ああいう話をする時は場所を選ぶべきだった。」
「ううん、僕の方こそ、つい興奮しちゃって…ごめんなさい。」
「いや。ここを出るいいタイミングになったさ。朝食は食えなかったが出発しよう。」
そう言葉を交わし、二人は毛皮のコートを羽織り、荷物を肩に掛け、宿を後にした。
玄関のドアを開けると、眩しい陽光が飛び込んできた。
昨日の嵐が嘘のような、暖かな日差しが燦々と二人に降り注ぐ。
目の前に聳えているアウグスト火山は美しい頂を真っ青な空に突き出し、ロニィ達を見下ろしていた。
嬉しさのあまり、トーンが高くなったエドガーの声に、周囲のテーブルがざわめいた。
“あんな小さな子を…。”
“恥知らずめ、地獄へ落ちろ。”
“いい男なのにねぇ…勿体ない。”
ロニィへの誹謗中傷が狭い宿の中に波紋のように広がった。
(うわっ、まずった。)
ロニィがその場を取り繕うように、周囲に向かってつとめて紳士的な笑顔を振りまいた。
「違うよ、だって僕、本当は…おん…。」
「エドガー!」
慌てて片手でエドガーの口を覆うと、ロニィはそのまま彼を抱きかかえ、全力疾走で客室へ戻った。
「すまない…ああいう話をする時は場所を選ぶべきだった。」
「ううん、僕の方こそ、つい興奮しちゃって…ごめんなさい。」
「いや。ここを出るいいタイミングになったさ。朝食は食えなかったが出発しよう。」
そう言葉を交わし、二人は毛皮のコートを羽織り、荷物を肩に掛け、宿を後にした。
玄関のドアを開けると、眩しい陽光が飛び込んできた。
昨日の嵐が嘘のような、暖かな日差しが燦々と二人に降り注ぐ。
目の前に聳えているアウグスト火山は美しい頂を真っ青な空に突き出し、ロニィ達を見下ろしていた。