Ｆａｋｅ!!（フェイク）～漆黒の魔導師と呪われた乙女の物語～

彼の顔が悲しみに歪み、エメラルドグリーンの瞳からは大粒の涙が溢れた。


「…酷いよ、ロニィ…。何も知らなかったのは僕だけだったなんて…みんなで寄って集って僕を騙していたなんて…恋をして有頂天になっている僕を…お前は、心の中で赤い舌を出して笑っていたんだね…。」


（そうだ…エドガー、その調子だ。もっと…もっと激しく俺を憎め！憎悪と悲しみを俺にぶつけろ！俺に“呪いの言葉”を叫べ！）


ロニィは願った。
そして、小さく何かを呟くときつく両の瞼を閉じた…。


「ロニィのバカ…。お前なんか…オマエなんか“死んじゃえーーっ！僕の前から消えてしまえーーっ！”」


雪雲が幾重にも広がる鉛色の空に、エドガーの悲痛な叫びが響いた。



ズッ…ズズズ…ゴゴゴッ

にわかに神殿が、不気味な地響きと共にグラグラと揺れ始めた。