あふれる笑顔
以前…………何度か目にした咲のパニック。

実家のトラウマから

彰人の愛称の『ささ』を聞いた時や

俺と聡兄をダブらせた時に、発症した。

「咲、落ち着いて。
大丈夫だから……………。
俺はここにいるよ。」

抱いてリビングに向かう事を諦め

その場に抱えたまま座り込んだ。

頭までスッポリ抱きしめて

背中を撫でながら優しく声をかけると

幾分、パニックはおさまってきた。

「…………………一人は嫌。」

「圭ちゃん…………ずっと一緒に居て。」

もしかして………

遅かった俺が、浮気でもして

咲と別れると思った??

少し気楽な想像が、頭に浮かんだ時

「いつするの?
お見合いした人と…………結婚するの?」と言う声が

耳に入ってきた。

はぁ?

見合い??

一瞬、何の話しをしているのか分からなかったが…………

さっき、帰る前に親父が依頼した会食と……

兄貴の意味深な言葉が、思い出された。

………………………アイツら!
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