あふれる笑顔
「ほらっ、明日も早いんだろう。
もう寝るぞ。」

彼女になってから同じベットで寝ている。

ただし、ホントに寝るだけ。

ずっと一人で生きてきた咲に、人といる温かさを教える為だった。

だけど………いくらオジサンだと言ってもまだ38歳。

枯れている訳ではない。

好きな女の子を隣に置いて我慢するのは………

正直辛い。

けど…………

今はまだ手を出すわけにはいかない。

咲を大切にしたいというのもあるが………

別に手を出したからといって、大切にしない訳じゃない。

むしろ、もっと大切にするだろう。

手を出さないのは、俺の事情。

家の問題だ。

咲には、ささの二の舞はさせない。

半分血が違うからと強いたげられたささ。

オヤジの浮気で出来た子供。

母親が、恨みを持つのは…………百歩譲って仕方ないと思う。

オヤジに裏切られたんだから。

だけど………

たった3歳で母親を亡くし

預けられた先で虐められるささは、たまったものじゃない。

子供なりに俺は

幼い子供を苛める大人たちが信じれなかった。

ささは何も悪いことをしていない。

たまたまここに生まれ落ちたんだ。

お手伝いが、溢したと言って水をかけたり

ご飯を出すのを忘れたと言って、食べさせなかったり。

幼い子供にして良い仕打ちじゃない。
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