あふれる笑顔
「圭ちゃん、見て見て!!
もう直ぐ頂点だよ!!
キャーッ!!
誰よりも高い所にいる~!!!!」

今は観覧車の中。

普通は、ムード満点で………

キスの1つもするところだけど……………。

咲を相手には、ムードなんてあり得ない。

大騒ぎする姿を眺めるだけだ。

咲は、遊園地自体初めてだった。

二十歳を越えてからデビューって、かなり珍しい。

今時は、小さい頃から連れていってもらっているはずだ。

「咲。」

年の差を気にするあまり

もっと大切な事を忘れてたな………………。

「何?
もしかして怖くなった??
隣に行って手を握ってようか?」

トンチンカンな会話に苦笑しながら

「アホ。
こっちに来い。」と言って、隣を勧める。

「やっぱり怖いんでしょう!」

「黙れ。」

キスで口を封じてみる。

キョトンと目を丸くする咲に

「咲…………幼稚園、楽しいか?」と聞いてみた。

益々丸くなる目。

「うん、楽しい。」

「仕事を辞めて…………俺と一緒に働かないか?」

「えっ??
喫茶店のウエイトレスさん??」

そっか。

咲は、俺の実家を知らないんだ。

「う~ん。
よく分かんないけど……
洋ちゃんのパン屋さんを彩先生が手伝うようなもの?
いいよ。」

何も考えず、アッサリ了解する。


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