あふれる笑顔
「笹兄、圭ちゃんただいま。」

今日も笑顔で扉を開ける。

「おう!おかえり。」

「咲、おかえり!」

新学期が始まって2週間。

この間の遊園地デートから10日が過ぎて

少しづつ

咲、本来の明るさが戻ってきている。

あの日、俺に素直な気持ちを話した。

気の強い咲には、照れくさくて仕方がなかったようだが………

それと同じくらい楽になったみたいだ。

「お疲れ。
ご飯にするから、手を洗ってこい。」

いつもの声に

「あぁ~ごめん。
今日は、今から出掛けるの。
さっきメールしたんだけど、気づかなかった?」

そういえば、昼に悠人から電話がきて

そのまま裏に置いたままにしてたような…………。

話しながら鍋を覗いた咲は

「ええっ?!
今日は、鯖の味噌煮?
もしかして、炊き込みご飯だったりする?」

「あぁ。
後は豚汁とサラダとホウレン草のゴマ和えだ。」

それを聞いた咲は、身悶えして

「ズルい!!
あぁ~。
ええっ~!!
もう~
行くの止めようかなぁ~」と、一人でブツブツ言っている。

クスクス笑いながら

「お兄ちゃんが、しっかり食べておいてあげるから
安心して出掛けておいで~」と、ささがからかう。

「うるさいなぁ!!
笹兄に言われなくても行くよぅ!」

大好物のメニューに、不機嫌な咲だ。
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