あふれる笑顔
そういえば、咲は何処に出掛ける気だ?

ささも知ってるみたいだが…………。

「咲、時間は大丈夫なのか?
食べてくるなら仕方ないけど
帰って食べるなら、家に持って帰っておくぞ。」

俺の言葉に、目をキラキラさせて

「良いの?!
だったら、直ぐに帰って来る!
圭ちゃん、ありがとう!!!」と機嫌が戻る。

ウチのお嬢さんは、和食………特に家庭の味に弱い。

母親の味をずっと求めていたからだろうが

俺と一緒に生活するようになってからは

雛鳥のように

俺の出す食べ物が全ての基本になった。

「ところで、何処に行くんだ?」

何気なさを装ったが、結構気になっていた。

肩を振るわせるささをひと睨みして、咲に目を向けると

「あっ、そうそう。
笹兄とデートなの。」と

はぁ?!

ささとデート!?

Bar はどうする気だ??

第一、何処に行くつもりなんだ?

目でささに会話すると

「今日は臨時休業なの。
可愛い妹優先だからね。
俺も帰ってから食べるよ。
お兄ちゃん、よろしく~」とふざけた事をいう。

くそっ!

文句を言ってやりたいが

咲に「圭ちゃん………ごめんね。」と言われては………何も言えない。

「だったら、閉めるぞ。
ささ、早めに連れて帰ってこい。
帰る前に電話をしたら、温めておく。」

内心のイライラを押さえて、長男らしい言葉をかける。
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