あふれる笑顔
「咲。
悪いけど………ちょっと俺の行きたいところに寄ってから
屋台や観光をしても良いか?」

「良いけど……………。
圭ちゃんって、広島って初めてじゃなかった?
行きたいところなんてあるの??」

さすが鋭い咲。

唯ちゃん辺りだと、気にしないんだろうけど。

「チケットを貰って、旅行に行くことにしてから
俺もネットで調べてみたんだ。
咲が喜びそうなところを見つけたから、行きたいなぁっと。」

俺の言葉に、パッと明るい笑顔を見せる。

「もしかして、圭ちゃんも楽しみにしてくれていたの?!」

当たり前の質問に、こちらが驚く。

「当たり前だろう。
彼女と旅行だぞ。
いっぱい楽しもうな。」

フッとした時に、咲の自信の無さを感じる。

育った環境の影響はもちろんあるけど………

俺の言葉が足りないのもあるかもしれないな。

日頃の態度を反省しながら、咲の手を繋いで駅に進む。

電車を待つホームは2つ。

田舎のこの街は………初めてなのにホッとする。

「圭ちゃん、流石だね!
電車の入って来る曲が『宇宙戦艦ヤマト』だよ。」

確かに俺も驚いた。

普通は曲というか、メロディが流れるものだ。

出発から、楽しい雰囲気を味わいワクワクと心が踊る。
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